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【DX基本編】人事におけるDXの始め方

世界情勢に合わせて人々の働き方は進化しています。新型コロナウイルス感染症の大流行は顕著な例で、あらゆる企業の人事部におけるDX促進に拍車をかけました。
では、どのような改革が行われているのでしょうか。本稿では人事部におけるDXの必要性や具体例、そしてロードマップをご紹介します。

目次

人事におけるDXとは?

従来の人事プロセスは対面のコミュニケーションや書類をベースに行われていました。例えば勤怠、業績、採用候補者等の管理や手続きにおいて膨大な書類がやり取りされていたのは、それほど昔のことではありません。このようなプロセスのデジタル化を経て、働き方やリーダーシップのありかた、企業文化の改革まで目指すことが出来るのが人事DXなのです。
ここで念頭におくべきは、従業員にとって望ましい働き方や生き方をサポートする「手段」としてデジタル化を使うということです。目的にしてしまっては、DXの失敗リスクが高まってしまうことでしょう。

なぜDXが求められるのか?

人事部のパフォーマンス

DX推進によって、以下のようなことが期待できます。
・生産性向上
・コミュニケーション改善
・優秀な人材の採用
情報の活用を通してデータに基づいた意思決定が可能になり、企業は時間とコストを節約しながらパフォーマンスを向上することができます。

働き方ニーズの多様化

最新の調査では「ポストコロナを迎えても2,000万人以上はオフィスに戻ることはない」と推測されています。また一部の企業はオフィスへの回帰を期待しながらも、大多数の労働者側はリモートワークやハイブリッドワークの選択肢の継続を希望しているのが現状です。
アメリカ合衆国では、プライベートとキャリアの優先順位を見直した結果辞職を選択する人も多く、昨年11月には過去最高の月間450万人が辞職を選択したとのデータもあります。この労働者のニーズシフトにおいては、人事のDXに取り組む企業こそが恩恵を受けることができるでしょう。

DX例

円滑な入社プロセス

感染症の影響で、米国では、2020年以降に新しい職場に採用されて働き始め、まだ一度もオフィスに足を踏み入れたことのない社員が何千人も存在するといいます。対面が当たり前の働きかたであったかつては、新入社員は一定期間を経て職場環境に適合していきました。しかしパンデミックが落ち着いてもリモート、ハイブリッドワークの普及が進む昨今、会社や文化から切り離された感覚を継続的に抱いてしまう社員が増加しています。
人材紹介企業Glassdoorの調査によれば、スムーズな入社プロセスを経験すると、社員の定着率は82%改善、そして生産性も70%向上します。一方でそのプロセスが充実したものだったと答えた社員はわずか12%にとどまったとも発表しています。

では、優れた入社プロセスとはどのようなものでしょうか。

例えば入社プロセスは複雑ですから、必要事項を包括的に確認できるプラットフォームがあれば社員のストレスを軽減できるでしょう。必要なトレーニングは完了したか、先輩がそれをチェックしたか、必要な入社書類の提出や福利厚生選択は終えたかなど、タスク管理のデジタルプラットフォームを工夫するのが1つの手です。

また、企業の文化を体験型で学べるプログラムを整える企業もあります。他の新入社員と一緒に、または同時に進めれば、絆を築くのにも効果的でしょう。物理的に同じ場所で働かない場合に欠如する最大のものは感情的なつながりですから、この欠如を埋めるための戦略的なアプローチを組むことが必要になります。

従業員の入社手続きには時間と労力がかかります。したがって一貫性をもって行うことは容易ではありませんが、それを実現することで新入社員はサポートされ、歓迎されているとさえ感じることができるでしょう。

セルフポータルサイト

McKinseyの調査によると、従業員は有給日数や病欠の取り方、過去の源泉徴収票の取得方法といった人事情報の検索に、1週間あたりトータル平均で約1日もの時間を費やしていることが明らかになっています。このような疑問は、生産性や企業文化醸成の妨げになっている可能性があります。
解決にむけては、人事デジタル化の一環として、従業員が人事情報に簡単にアクセスできるセルフポータルサービスを整えることができます。具体的には、複数の企業が以下のような情報を閲覧できるように整えています。

・求人情報
・会議の議事録
・スキルアップトレーニング
・NPSスコア
・健康・幸福度の調査データ

また、セルフポータルサイトにAIチャットボットを搭載する企業もあります。これによって、必要な情報へのアクセスがさらに容易に、そして気軽にできるようになります。人事部チーム、従業員の両者において効率化を測ることのできる機能だと言えるでしょう。

従業員アナリティクス

パフォーマンスや生産性、エンゲージメントの向上を目的に、多くの企業が人事部においてもデータの収集・分析に取り組んでいます。アナリティクスという言葉の無機質さに、人間性や文化は直結しないと考える人も多いことでしょう。しかし実際には、データに基づいた意思決定は、従業員の成功や満足度・やりがい創出につながります。

例えば強みや適性の把握は、チームビルディングに欠かせません。またスキルやパフォーマンスを正確に把握していれば、適所への采配や、スキルアップの機会提供が可能になります。実際にPaypal人事のグローバル責任者は自身の就任時、全従業員に一斉に適性テストの受験を実施したと言います。結果、以前にはなかった親密感が社員間に生まれていると話します。

応募者のフィルタリング

米国の求人情報には平均250件の応募があり、その88%が応募条件を満たしていません。一方で企業は、全履歴書を審査するだけでも平均23時間以上を要すると言われています。人事部は、条件を満たさぬ不適格者を手作業で選別しているために、優秀な候補者を逃がすわけにはいきません。そこで多くの企業がAIを搭載した応募者のフィルタリングシステムを導入し始めています。

このシステムを使えば、スキル、経験年数、学歴等の条件でフィルタリングできます。不適格者を排除することで、人事チームが実際に目を通す応募書類数を格段に減らし、人事部チームの効率化やパフォーマンス向上を図ることが出来るでしょう。近年の高度なシステムは繊細なフィルタリングが可能であるため、適性のある候補者を不注意に排除してしまう可能性が減っています。

さらに、バックグラウンドに関係なく優秀な候補者を通過させることをサポートできます。性別や年齢、民族への無意識な偏見がはびこる社会におかれていますが、人事担当者個人の直感や私的好みに影響されずに、公正かつ一貫した評価の実現に役立ち、それは長期的には、企業全体のパフォーマンス向上にもつながっていくのです。

リクルーティングチャットボット

採用ペースの速い昨今、採用担当者、応募者の両者における手間・時間の節約がますます求められています。チャットボットの活用は、従来手作業で行っていた以下のようなステップを効率化できるでしょう。

・面接の日程調整
・選考のための必須事項の情報収集
・採用ページにアクセスした求職者の情報収集と応募への誘導
・(福利厚生など)応募者への情報提供

特にAIチャットボットを導入すれば、応募担当者がオフィスにいるときのみならず、いつでも迅速に応募や質問が可能になり、採用プロセスが一段とスムーズなものになります。

DX実現へのロードマップ

企業によってニーズは異なりますが、共通の通過すべきステップを紹介します。

DX戦略の明確化

現状の課題を特定し、明確な目標を立てます。またその達成度の測り方も明らかにしておくと良いでしょう。

社内のコミュニケーション

まずは人事部のリーダーと各メンバーのオープンなコミュニケーションが不可欠です。同じビジョンを見据えていることを確かめてから進めましょう。変化には困難がつきものですから、前進への基盤を整えるべく全員の理解と協力を得ることが成功へのカギとなります。
次に人事部にとどまらず社内のあらゆる領域に従事するメンバーと連携し、アイデアやメンバーを募ります。

プラン作成

新しいシステムをどのように機能させて現状の問題を解決していくか、詳細に計画を立てます。あらゆる部門のメンバーが参加していれば、DX計画が企業全体のニーズに応えられることをこの時点で確認できます。また計画を作成できたら、携わらなかったメンバーにも共有して再度意見を募り改良を加えると良いでしょう。

実行・測定

計画を実行に移し、新しいツールやプロセスの使用を開始します。そしてDXの進捗を長期にわたって継続的に追跡し、人々のニーズを満たし続けていることを確かめます。そして必要であれば計画の調整やサポートを実行していきます。

まとめ

行動力のあるリーダーはただちに変革に取り組みたくなるかもしれませんが、働き方は全従業員に関わるものですから独りよがりに進めては成功しません。まずは人事部内や他の部署からメンバーを集めることや、他従業員への理解・協力を促して変革への土台を整えることが欠かせません。
また、ビジネス心理学者のロバート・コバックが人事は文化に注目すべきだと言うように、デジタル化を「手段」にどのような企業文化の醸成が可能か捉える必要があります。そしてこの中枢命題を念頭に置きながら各ステップを進めていくことで、成功が見えてくることでしょう。
本稿を参考に人事部の戦略を見直し、働き方から企業全体のパフォーマンス向上を目指してみてはいかがでしょうか。

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