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【DX海外事例紹介】ラテンアメリカの医療施設

医療業界におけるDXは、”ふれあい”、”親しみ”といった必要不可欠な要素を奪うかのような誤解とともに語られることがあります。しかし実際には、効率化や人的ミス防止、そして各患者さんに個別化した最適なケアを施すことができる可能性が広がっています。
本稿ではそんな医療業界のDX成功事例として、ラテンアメリカ最大の心臓病治療・研究複合施設InovaInCorを紹介します。

目次

医療業界における課題とは?

今回紹介するDXは、「データの取得と転写」の非効率性に直面していたICUの医療チーム医師の声をもとに考案されました。
一般にICUでは、慢性疾患をわずらう各患者に多くの機器が繋がれています。しかしこれらの機器は相互に対応しておらず、医師や看護師が各機械からデータを抽出しなければ確認できない状態でした。

常に巡回し、1台1台のベッドからデータを抽出して医療記録に書き写すー-

この「非効率なワークフロー」における労力や人的ミスの可能性が、100床を超える大規模なICUで特に問題に挙がっていました。
この課題は、各機器の持つ独自のシステムに起因していました。シーメンス、GE、東芝など異なるブランドをまたいでは、機器間での通信ができないのです。また病院では技術や予算の制約から、1つのブランドの機器だけをそろえることは不可能です。
心臓モニターと輸液ポンプのような連携機器のブランドが異なる場合にも接続性を確保できないため、人が手作業で各ユニットから個別にデータを読み取って記録し、監視しなければならない状況です。

データ統合システムの開発

この非効率な状況を改善する為に、InovaInCorのICUチームは全機器の情報を共通のシステムに統合して一元的に管理できるように取り組み始めます。まずは機器メーカーに連絡を取り、解決への協力を依頼しました。しかし多くのメーカーが「解決策がある」と名乗りをあげたものの、上手く進める事が出来ませんでした。

そこで外部に委託するのではなく、問題を抱える医師や看護師自身がプロジェクトチームの一員となり、SAPチームと連携して解決していくことになりました。プログラミングやエンジニアリングの専門知識に医療チームの意見を掛け合わせながら、デザイン思考のアプローチでシステム開発へ取り組んだのです。こうして各機器に接続するだけで共通のダッシュボードに最新情報を表示できるシステムを完成させたのです。

ワークフローの改善でケアを充実

試作機のテストでは、看護師の仕事量の85%が削減できるという計算結果が出ています。月に1,000時間以上もの時間を費やすデータの抽出と入力の時間が省けるからです。さらにICUのベッドの回転率を7%向上させることにも成功しました。大規模に展開すれば毎日42,000ドルも節約できる見込みです。

こうして浮いた時間・金銭的コストを、今後は患者とのコミュニケーションやさらなるシステム導入にかけ、ケアの充実を進める予定です。

データの個別化

またこのシステムが改善できるのはワークフローの負担の軽減だけではありません。データを個別化し、欲しいデータを正確に素早く表示することもできるようになります。症状が異なれば医師が必要とする情報も異なるためです。
ナースステーションに設置されたダッシュボードには各機器から抽出された全患者の最新情報が表示されます。こうして膨大なカルテに目を通すことなく、患者に何が起こっているのか迅速に知ることができるようになりました。こうして短時間で質の高い治療を提供できるようになります。特に経験の浅い若い医師が混乱に陥るのを防ぎ、迅速に必要な情報を取得して症状に介入することが可能になりました。

担当エンジニアからのメッセージ

この事例を導いた専門家は成功のカギとして、テクノロジーを「医療を行うサポーター」として見なすことを挙げています。多くの医療関係者はテクノロジーを新たな負担、または患者との接触を妨げるものと捉え導入に消極的ですが、むしろケアの充実を進めるためにDXを推進すべきだと伝えています。

また医療に限らずどの業界でDXを検討するにも、事業のコアとなるエッセンスを吸い取ってしまうことなく、何を効率化し、その分どこに労力を割くかーーまずは戦略を立てることが成功への近道なのです。

まとめ

今回紹介した事例では、システム開発を通してワークフローの効率化に成功しました。ここで浮いた時間・金銭的コストを、今後は患者とのコミュニケーションやさらなるシステム導入にかけ、ケアの充実を進めることができる見込みです。また1分1秒を争う事も多い医療業界では、データの個別化で迅速な対応が可能になったことも大きな成果でした。
日々患者さんへの対応に追われる医療現場では、新しいシステムや作業に慣れる負担も考慮する必要がありますが、一方でDXは負担軽減やケア充実を進めることができるカギでもあります。

皆様の職場・現場に当てはめて、検討してみてはいかがでしょうか。

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