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【業界別DX】非営利団体のDX戦略

あらゆる業界にとってDXのニーズが高まっています。もちろん非営利セクターも例外ではありません。では、非営利団体にとってのDXの意義とは何でしょうか。そこに想定される障壁やソリューションを含めて、本稿でご紹介します。

目次

DXの意義

DXの重要性

インディアナ大学の調査によれば、60%以上の非営利団体が「コロナウイルス感染症の大流行によって資金調達が困難になった」と回答しています。パンデミックでサービスを必要とする人々が増える一方で、そのための資金提供者をはじめとした、リソースは減少しているというジレンマに直面しているのです。
この経済的な不確実性によって、非営利組織が長期的な戦略を掲げてプロセスを実行していくことも非常に困難な状態に陥っています。しかしDXを促進することによってこのプレッシャーを軽減することができます。というのも、組織のリーダーシップや、外部のステークホルダーとの連携能力を向上させることができるからです。こうして強みに基づいた効率的な運営や、組織の持続可能性の向上が可能になります。

ミッションを推進するために、まずはデジタルツールを活用するためのロードマップを組みましょう。非営利セクターでは、支援者へのアプローチ、ボランティアの発掘、アドボカシーの促進、資金調達の増加、組織のプラットフォームの共有、コミュニティの認知度向上などを考える必要があるでしょう。

DXで改善できること

資金が減少していても、ミッションを前進させることは可能です。
方法は主に2つあります。

①コミュニケーションの改善
パンデミックでリモートワークを余儀なくされるケースが世界的に増加したこともあり、コミュニケーション改善の重要性が高まっています。新しいビデオ会議ソフトウェア、メッセージシステム、ファイル共有ツールを導入すれば、遠隔で働く従業員のつながりを維持することができます。こうして彼らのミッションの貢献度や生産性の向上を実現できます。
非営利団体の69%がポストコロナ時代においても長期的な選択肢としてリモートワークの推進を検討していることからも、これらのツールへの投資は不可欠と言えるでしょう。

②データフローの改善
2つ目はバックエンドITインフラのアップグレードから、組織全体のデータフローを改善することです。データ活用の可能性を制限するレガシーシステムを置き換え、より効果的にアクセスし活用しやすくしましょう。
例えば、クラウドへの移行や、システムアップグレード、組織全体のデータ収集プロセスの標準化等が挙げられます。
このような取り組みを通して、データに基づいた意思決定が可能になります。
例えば、より適切なリソースの割り当てにつながるので、限られた資金でもミッション達成へ前進するのに効果を発揮するでしょう。
問題を一度に解決することは難しいかもしれませんが、ビジネスにとって重要なデータセットを見極めて改善を始めてはいかがでしょうか。小さなステップでも、生産性向上の機会を従業員に提供することはできます。

その先に叶えるコアミッション

DXは目標達成を容易にし、加速させるのに役立ちます。ここで重要なのは、長期的なミッションとDX戦略を連携させることです。細切れのプロジェクト達成のための技術投資とみなすと、経営難に陥る可能性もありおすすめできません。
非営利団体の使命を果たすための能力向上を目的とした長期的な取り組みを、キャパシティ・ビルディング・プロジェクトと呼び、主に3種類に分類できます。

①リーダーシップの育成
リーダーシップの継承は、非営利団体の持続可能性にとって非常に重要な問題です。明確な組織の構造を描くにとどまらず、次世代のリーダーが新しい役割に就いたときの準備まで進めましょう。というのも初代リーダーのカリスマ性に依存した運営をしてしまう団体が多く、世代をまたいで活動を継続していく団体はごく一部なのです。
DX戦略の1つとして、より充実したeラーニングのインフラを構築することができます。

②ボランティアの募集
ボランティアの収集は、非営利団体にとって終わることのないミッションです。コミュニティを拡張できれば、コアミッションの推進も可能性が高くなります。
例えば、ウェブサイトのアップグレードやリモートでのボランティア活動を円滑に行うためのシステム導入を通して、より多くの人を惹きつけることができます。

③ステークホルダー・エンゲージメント
寄付者との関係の改善も、非営利団体の重要なミッションです。そのため、ステークホルダーのデータをより効果的に管理するためのクラウドスペースを整えることも効果的でしょう。

DX実践のヒント

障壁

多くの非営利団体は、長期的な戦略としてテクノロジーに投資することの価値を古くから認識してきたにも関わらず、2つの障壁に直面してDXを実行できていません。1つ目はテクノロジー導入にかかる金銭コストです。調査によると90%の団体が現状のデジタルプラットフォームに満足しておらず、資金が大きな障害となっていると答えています。
2つ目に時間的コストです。例えば45%の団体は、新しいテクノロジー導入にあたって必要な従業員へのトレーニングをDXの障壁と捉えています。
このような理由でDXは非営利団体運営の戦略から外されてきました。しかし、必ずしも高いコストを払う必要はありません。適切なDX目標を見据えていれば、組織のミッションに大きなインパクトを与えるような小規模なプロジェクトを実行できます。

ソリューション例

①段階的な改善
1プロジェクトずつ段階的なアプローチを踏めば、コストを抑えながら従業員へのトレーニングも管理しやすいでしょう。投資分野には以下のような例が挙げられます。

イベント管理システム
オンラインでイベントを開催する際の手作業を大幅に軽減することを目指します。低価格のSaaS型ツールを導入し、イベントに集中できるようにしましょう。

会計システム
会計ソフトをアップグレードして寄付を簡単に追跡できるようにすれば、財務データと顧客データの記録をリンクさせることができます。

マーケティング・オートメーション
手頃な価格のマーケティング・オートメーション・ソリューションを利用すれば、大規模なアウトリーチをパーソナライズでき、手動で大量のメッセージを送信した場合よりもエンゲージメント統計について深い洞察を得ることができます。

CRM
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれます。顧客とのコミュニケーションを管理し、従業員と支援者との関係を一元的に把握できるようにします。例えば寄付履歴、連絡先、メールやSNSを通じたやりとりなどを同一プラットフォームのうえで行います。
こうして寄付者の記録をCRMに移行することで各連絡先を包括的に把握し、遠隔地にいる従業員のデータアクセスを向上できます。

これらは選択肢の一部に過ぎません。組織のニーズや優先事項に沿ったものでなければならないので、注意深く投資のステップの戦略を立ててみてください。

②技術導入におけるサポート
どのようなDXプロセスであっても、スタッフが変化を受容できるようにサポートすることが欠かせません。スタッフやボランティアは既に多くの役割を担っているため、新しいツールやシステムの使い方を短期間で習得できなければ活用しなくなり、せっかくの技術投資も効果を発揮せずに終わってしまうことがあります。
包括的なトレーニングを整えたとしても、必ずしも人事部に負担をかける必要はありません。例えばデジタル・アダプション・プラットフォーム(DAP)で新しい技術をフォローアップできれば、トレーニングにおける時間やコストを削減することが可能です。DAPは既存のツールと直接統合してチュートリアルやガイダンス、トラブルシューティングを提供するソフトウェアなので、スタッフが迅速かつ効果的にシステムを利用できるようになるのを大いに助けてくれます。またスタッフが自分に適したタイミングで必要なトレーニングを受講することもできるようになります。

③ミッションの再構成
コロナウイルスのパンデミックは人々の働き方など、生活のあらゆる場面に影響を与えてきました。“The Sustainability Mindset”の共著者のSteve Zimmerman氏によると、非営利団体にとって今回のパンデミックは 「自分たちが何者で、何を担っていくのかを再構成して改善していく」時期であることを意味しているといいます。
導入コストを考えると腰が重くなるかもしれませんが、パンデミックからポストコロナ時代においても繁栄していくことを目指すなら、DXを非営利団体の戦略の核の部分に入れ込む必要がありそうです。

まとめ

パンデミックによって非営利団体の運営は厳しさを増していることでしょう。そこでDXの必要性が高まっているのです。本稿でご紹介したヒントを参考に、DXの推進を検討してみてはいかがでしょうか。

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