【業種別DX】医療業界におけるDXの始め方
各業種別のDXの現状について、取り巻く環境やどのような取り組み・事例があるのか、各々の業種や業界での「DXの始め方」について纏めていきたいと思います。
本記事では、医療業界におけるDXについてご紹介します。
目次
新型コロナウイルス感染症が与えた医療へのインパクト
新型コロナウイルス感染症の流行が与えた影響は多方面に渡り、医療の世界にも影響を与えました。それは患者にとってだけでなく、医療従事者や新薬を開発する研究者などにも影響を与えました。コロナの状況を受けてオンライン診療に関する規制を積極的に導入する国が増えています。
規制の厳しいヨーロッパでもオンライン診療の規制が緩和され始めています。しかし、医療に関する規定を変更するのは容易なことではなく、慎重な検討が求められます。日本の医療ではDXを推進しようとも、医療品医療機器等法(薬機法)という法的障壁があるため、なかなか進まなかったというのがこれまでの状況でした。しかし新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて日本でも法改正が進んでいます。
法改正の流れ
・2020年4月
オンラインでの診療及び薬剤指導が時限的、特例措置として認められました。今後正式に法改正が行われていくと予想されます。
・2020年9月
医療品医療機器等法(薬機法)の改正により、一定の条件をクリアしていれば、対面で薬剤師に会わなくても、オンライン通話を行うことで薬が手に入ることになりました。
関連記事
オンライン診療特例措置に関する文書(厚生労働省HPより)
https://www.mhlw.go.jp/content/000621247.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00014.html
薬機法改正オンライン服薬指導に関する文書(厚生労働省HPより)
https://www.mhlw.go.jp/content/000650601.pdf
医療におけるDXの重要性
ニューノーマルの時代になった今、医療とデジタル化の融合は避けては通れなくなっています。日本の医療現場は以前からデジタル化が進まず、非効率的な作業の実施が行われていました。
実際にコロナ禍で管理システムが整備されていない為に、医療現場で影響を受けました。日本は政府主導で医療品が不足している地域に届けるはずが、総合的な医療物資用の管理システムが構築されていなかった事、かつ備蓄の戦略不足がありました。
他にも医療機関から保健所への連絡方法はFAXが使われ、現場のスタッフに大きな負担をかけることになり、結果として状況把握に遅延が生じました。
今後はさらに少子高齢化による、医療の増大や人口減少による医療人材不足が進むと考えられます。そのため少ないリソースで最大のパフォーマンスを実施するために医療現場におけるDXが必要とされています。
医療DXのための第一歩
DXを推進していくためにはまず目的を明確化する必要があります。看護師、事務スタッフ、患者などそれぞれに異なる課題があるものです。まずは各ステークホルダーにとって何が重要な課題であるのかを洗い出す必要があります。
例えば比較的に導入しやすい、ペーパレス化や定型業務をRPA化することで、医療スタッフ、事務スタッフや患者への負担を減らすことができます。このような取り組みを進める事で、医療スタッフの時間をより重要な医療行為に当てることができます。
医療現場ではコロナの状況に限らず日々患者への対応に追われている中で新しいシステムや作業に慣れる必要も考慮に入れる必要があります。電子カルテや医療情報共有システムの構築も大事ですが、情報連携の見直し(FAXの廃止)、定期作業のRPA化といった簡単な作業からDX化を検討してはいかがでしょうか。
はじめの一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。